
参照:西日本新聞社
大分県・国東半島で5月3日に行われる自転車イベント「ツール・ド・国東」(西日本新聞社など主催)で、最長となる160キロのコースに山口県美祢市の小学3年、大谷修也君(8)が挑戦する。原因不明の病と闘う弟に、苦しさに立ち向かう兄の姿を見せたいとエントリーした。「自慢の兄」になれるよう、ベテランライダーでも音を上げる難コースを走り抜く。
修也君が自転車競技を始めたのは小学校入学前。すでに全国大会で活躍していた知的障害のある7歳年上の兄春樹さん(15)の背中を追い、小1で「ツール・ド・国東」に初出場。75キロコースで最年少完走者賞を受賞した。この直後、弟の悠喜(ゆずき)ちゃん(3)に病気の症状が見つかった。
悠喜ちゃんは生後約7カ月の定期健診で、筋肉内の酵素の数値が異常に高いことが判明。体の自由が奪われる筋ジストロフィーなどが疑われるが、病名や原因は分かっていない。知的障害の傾向もあり、会話や意思表示もうまくできないという。
原因不明の病に苦しむ弟を見た修也君は「僕が春君(春樹さん)に憧れたように、ゆず君(悠喜ちゃん)の憧れの的になる」と決意。それからは自宅にある自転車のトレーニングマシンで毎日1時間、ペダルをこいで体力を強化。週末には地域の自転車同好会のメンバーと100キロ程度の長距離走をこなしている。父親の会社員正樹さん(38)も「結果を気にして、負ければ悔しがるようになった」と目を見張る。
「ツール・ド・国東」には3度目の出場となる。昨年は95キロコースを走りきり、同コースの最年少完走者賞に輝いた。今年は、正樹さん、春樹さんの親子3人で最長コースに出場。3年連続の最年少完走者賞を目指す。修也君は「家を出る前にはゆず君に『必ず完走してくるよ』と言う。そして、また完走者賞をもらって賞状と盾を見せて、喜んでもらうんだ」と少しはにかんだ様子で話した。
記事元:西日本新聞