
県は、自転車利用者に保険への加入を求める県交通安全条例の一部改正案を、県議会六月定例会に提案する。県の調べでは、加入率は四割弱。加入が進まない中、歩行者をはねた自転車の運転者が、高額な損害賠償を請求される事例があることなどが背景にある。 (鈴木学)
県によると、条例改正は自転車の安全利用と自転車損害賠償保険への加入促進が柱。同趣旨の条例がある二十二都道府県と同様、未加入でも罰則規定はない。県が三月、県内在住のネットモニターを対象に調査したところ、回答した二百三十二人のうち、自転車保険の加入率は37・9%だった。いきなり義務化するのは難しいとみて、努力義務とした。可決後は速やかに施行したい意向だ。
県は自転車活用推進計画をつくり、自転車道の整備や自転車を生かした観光振興策などを進めようとしている。一方、県内で自転車が関係する交通事故は年間千件以上で、歩行者との事故は増加傾向という。県内ではないものの、損害賠償を請求された裁判で、一億円近い支払いを命じる判決も出ている。
県が加入促進の条例作りを検討していたところに、国土交通省からも未制定の県に条例化を求める要請があったという。
県生活文化課によると、年間保険料が千二百三十円で損害賠償額一億円の保険もあるといい、担当者は「万が一の高額賠償に備えるためにも加入してほしい」と呼び掛ける。学校や市町村と連携して広報し、自転車購入時に販売店からも案内してもらうようにしたいとしている。
記事元:東京新聞