
参照:カナロコ
本来は歩行者優先の「遊歩道」なのに名称から誤解が生じているとして、川崎市は、多摩川沿いの二つのサイクリングロードについて、新たに愛称を募集することを決めた。自転車が猛スピードで駆け抜ける事例もあり、重大事故を危惧する市市民オンブズマンからも改善を促されていた。歩行者、自転車双方の安全利用につながる同一の愛称を本年度中に選び、公表する考えだ。
愛称を募るのは、多摩川サイクリングコース(幸区の多摩川大橋-多摩区菅の20・2キロ)と、多摩川河口青少年サイクリングコース(川崎区殿町3丁目-鈴木町の3・5キロ)。
市によると、多摩川サイクリングコースは、県が1970年に青少年の余暇利用を目的に開設した。生活道路として使用されている実態を踏まえ、94年には青少年施設としては廃止。暫定的に県が管理していたが、2012年に市へ移管された。開設当初からの名称がそのまま定着したとみられる。
多摩川河口青少年サイクリングコースは市が1975年に整備した。目的は県と同様に青少年の余暇活動だが、やはり近隣住民には生活道路として利用されている側面もある。
両コースとも位置付けはあくまで歩行者優先の「遊歩道」。だが、名称があだとなり、自転車専用道路や自転車優先と思い込んだ自転車がスピードを出して走行することもあり、散策中の市民から苦情も出ていた。実際、昨年6月には市主催の多摩川美化活動で参加者の1人が自転車と接触して、軽傷を負う事故も起きた。
市もこれまでに「歩行者優先」「左側通行」「ゆっくり走ろう」といった路面標示を両コースの204カ所に施してきた。コースの幅員を広げる安全対策にも取り組み、多摩川での各種イベントではルールを周知するチラシを配布してマナーの向上に努めてきた。
今年5月には、同オンブズマンが名称について「市が行政判断で決定すべきもの」と変更を要請。市は愛称を広く募集することで、安全利用の環境を整える方針を固めた。
市の担当者は「歩行者も自転車もお互いに譲り合い、マナーを守って利用してほしい。そのため、誰でも安全に利用できることが分かる愛称を付けたい」としている。
記事元:カナロコ