
農水省は、日本産食材を好む外国人を増やし、農産物や食品の輸出拡大に結び付けるプロジェクトに乗り出した。訪日外国人に食と文化、健康などを組み合わせた体験を提供する一方、帰国後も日本での食の体験を再度味わえる環境を整備する。国内でモデルとなる体験事例を募り、全国各地での展開を目指す。
食と他分野を掛け合わせたり、日本産食材のファンが世界を駆け巡ったりするという狙いから「食かけるプロジェクト」と銘打ち、2019年度から本格的に始動させた。観光庁によると、訪日外国人の68%は訪日前の期待に日本食を挙げた。
同省はさらに日本食の関心を高めるため、てこ入れ策として同プロジェクトを立案した。
プロジェクトでは、食と歴史、スポーツなど異業種と掛け合わせて多様な体験を提供する「食かけるプライズ」を企画している。訪日外国人に、史跡巡り後に料理提供したり、サイクリング途中に地場産フルーツを楽しんだりできる、さまざまな企画を全国から募集している。日本ならではの食と体験を絡めて、訪日外国人へのPRを強め、帰国後もファンとして続くようにする。
募集した企画の入賞者には、旅行者向けの販売サイトへの掲載や商品化のための専門家の派遣などの支援を用意する。将来的には、食と異業種を掛け合わせた農村部の新たなビジネスモデルとして確立し、普及させることを視野に入れる。
また、帰国後も日本の食を再体験できるように、既に行う海外スーパー・レストランや越境EC(電子商取引)サイトの取り扱い、イベント機会を通じて日本産食材・食文化の発信などの取り組みとも連動させる。
同省は「訪日外国人の需要を国内で取り込むだけでなく、日本食のファンとなって帰国すれば海外での需要も増える。国内外での販路拡大につなげたい」(食文化・市場開拓課)と展望する。
「食かけるプライズ」の締め切りは8月4日。問い合わせは同プロジェクト事務局。
記事元:日本農業新聞