マウンテンバイク(MTB)の祭典「第29回 シマノバイカーズフェスティバル2019」(以下、シマノバイカーズ)が7月27、28日の2日間、長野県富士見町の富士見パノラマリゾートで開かれた。ツーリング種目、レース種目合わせて43種目に約2000人が参加。雨のち快晴の2日間に、マウンテンバイカーたちは泥にまみれて、レースやツーリングを満喫した。

参照:cyclist.sanspo.com
手ぶらで楽しめる「電動アシストガイドツアー」
シマノバイカーズは、富士見パノラマリゾートを舞台にマウンテンバイクのレース、ツーリング種目を楽しめる真夏の祭典だ。MTBの盛り上がりを確かめるために、Cyclist編集部も初めて訪問し、ツーリングやスクールを体験した。
初日は、今年初開催の「富士見電動アシストスポーツガイドツアー・ロング」に参加。これまでも「e-MTB」(電動アシストMTB)をレンタルし、歴史とのどかな風景を味わえる約8kmのツアーが人気だったが、「e-MTBをもっと楽しみたい」という参加者の希望に応え、約13kmに距離を伸ばしたコースを新設。富士見町の森や清流、名勝をつなぐツアーで、全国から集まった10人の皆さんとライドした。

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歴史と自然を満喫
ガイドスタッフにコースと機材の説明を受けると、富士見パノラマを出発。すぐに森の中のグラベルに入った。濡れたあぜ道や、公道をつなぎ、再び森のグラベルに入ると、ストップした。流れる武智川についてガイドライダーから「戦国時代に激戦があり、血に染まったということで最初は『武血川』と書いていたそうです」と説明があった。
そんな説明を坂の途中で、受けて再出発しても、e-MTBなら楽々。グラベルの濡れた急坂でも、シマノ・ステップスを搭載したメリダeBIG.SEVEN 600は、難なくシッティングのまま、再発進することができた。そこからグラベルをつなぎ、入笠湖や山ノ神溜池など、この地特有の水の澄んだため池沿いに走るのも、飽きなかった。
急坂や、このライドのためにだけ地権者の許可を取り、通れるという、シングルトラックを一列になって抜ける贅沢なライド。雨だったが、70%が悪路だったり、森の中でマイナスイオンをたっぷり浴びることができた。
名古屋市から4人グループで参加した金澤真樹さんは「乗りたかったe-MTBを試したくて、このライドだけのために来ました。これまでも試乗会で試していましたが、長い距離のオフロードで乗りたかったので乗り心地をしっかり試せて、これなら実際に使えると実感しました」と購入に向けて前向きだった。3年連続の参加となる静岡市の成岡一恵さんは「タイヤをスリックにして、速いロードバイクのサイクリストを後ろから抜きたいですね」と話した。

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泥レースを満喫する参加者
富士見パノラマのメイン会場に戻ると、雨と泥のコンディションでテンションが上がっているマウンテンバイカーたちを観戦した。
午後1時開始の「4時間エンデュランス」になる頃には、泥を楽しむ人たちには最高のコンディションになった。同種目には2~5人で参加する4カテゴリー別に総勢259人が参加する人気種目。2人組の部で優勝した4時間を走りきり優勝したTeam Rueda NAGOYA名古屋の落合友樹さん、小林正樹さんは「前回、選手交代のタイミングが上手くいかず反省したので、今回は計画的にうまくできました。泥のコンディションもいいですね」と笑顔で顔をぬぐった。初日はウェルカムパーティーと抽選会が室内で行われたが、自転車やローラー台、ホイールなど各協賛社から集まった数々のプレゼントに参加者は盛り上がり1日目を締めくくった。
2日目はレース競技に大歓声
一夜明けた2日目は心配された台風も逸れ、真夏の祭典らしく朝から日差しも強かった。この日は小学生、中学生も新たにカテゴリーとして追加された「富士見キングオブマウンテン・4ステージ」の最終ステージが朝8時にスタートした。「下り」「登り」「短距離」「長距離」の4ステージでポイント制レース4種目に渡って競う「山の王者」を決める花形種目で、レース開始早々から、応援する側も一段と力が入っていた。

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新設の小学生部門で総合優勝した中仙道侑毅くん(イオンjrレーシング)は「第1、第2種目で遅かったので、クロスカントリーで勝てて良かった。晴れのレースが得意なので、今日は調子が良かったです」としっかりスピーチした。
家族連れも多く、出場しない親御さん、小さな子供たちも声援を送って、レースに“参加”した。今年は会場の真ん中の斜面に、360°観覧が可能なスタンド「パノラマスタンド」を新設。このスタンドからクロスカントリー系/ダウンヒル系のゴールを同時に観戦することができた。またMC席横にも「ストレートスタンド」を設け、スタート・ゴール地点から親御さんたちが子供に歓声を送っていた。
DH種目がすべて終わると、井手川直樹プロも混じって全員で記念撮影。12時30分からの最終種目「激坂ゲレンデヒルクライム」では、200mの短距離で高低差30mを上り切る参加者を多くの観客が応援して盛り上がり、2日間の競技を締めくくった。
家族に人気の「バイカーズ・マルシェ」
レースに参加するマウンテンバイカーだけでなく、家族も会場で楽しめるのが、シマノバイカーズの良いところ。2日目は無料で振る舞われる豚の丸焼きや、地元のレベルの高いパンや、ベーグル、採れたての野菜を購入できる「バイカーズ・マルシェ」も大人気で、お土産用に品定めするお母さんも集まった。
イベントの最後に行われるミルキーレースはベビーカーに乗ってお母さんと走る0歳から、小学生までがプロ選手と一緒にウェルカムパーティー広場を走り、家族や参加者から大歓声を浴びていた。

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最新機材集まるシマノブース
2日間に渡って各メーカーのPRブースも盛況だった。主催のシマノのブースではe-BIKE用コンポーネンツ「SHIMANO STEPS」(シマノ・ステップス)を搭載した各社のe-MTBが勢揃い。MTBコンポーネントの最高峰「XTR M9100シリーズ」やフルモデルチェンジしたコンポーネンツ「DEORE XT」と「SLX」の完成車も並んだ。

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またグラベル/アドベンチャーに最適化した新コンポーネンツ「SHIMANO GRX」を実際に取り付けたグラベルロードの完成車も展示。電動変速「Di2」仕様と機械式変速や、ホイールセット「WH-RX570」も注目を集めていた。ウェア、アクセサリー関連も充実し、S-PHYREのシューズが全サイズ試し履きやLAZERのヘルメットが勢ぞろいした。
e-MTBの展示も各ブースで力が入り、GIANTは新型の2車種、デュアルサスペンションの「TRANCE E+ PRO」(トランス イープラス プロ)と、ハードテールの「FATHOM E+ PRO」(ファゾム イープラス プロ)を展示。ミヤタサイクルブースでも、リッジランナー8080、メリダの「eBIG.SEVEN 600」など、試乗車を試す人が多かった。
BESV(ベスビー)からリリースされたフルサスモデルの「TRS2 AM」もブースから次々と貸し出された。パナソニックサイクルテックのXMシリーズも試乗車やツーリング種目に全種類完備。急坂やシングルトラックを取り入れたe-MTB専用の試乗コースに持ち込んで存分に試す熱心なマウンテンバイカーも見受けられ、e-MTBへの関心の高まりを実感できた。
記事元:cyclist.sanspo.com