
参照:西日本新聞
「福岡県の多くの小学校では自転車利用は4年生からというルールがあると聞いたのですが本当ですか」。兵庫県の男性から、あなたの特命取材班にこんな質問が寄せられた。夏休みになり、自転車に乗ってプールなどに出かける小学生をよく目にする。そんなルールがあるのか調べてみた。
県教育委員会や福岡市教委などに取材すると、確かに700超ある県内の公立小学校の「大半で自転車利用は小学3、4年生からというルールになっている」ということで間違いないようだ。
では、なぜ3、4年生なのか-。そうなると、各担当者も首をかしげる。「ルールを設ける上での条例などの根拠はない。各学校の判断だ」という。警察も同じだ。県警の担当者は「指導や通知などはしていない」と話す。
福岡都市圏の数校の小学校に取材してみた。多くの学校が理由に挙げたのは「低学年の児童は交通ルールを覚えるのが難しいから」ということだった。
夏休み前に各学校では警察署に要請し、3、4年向けの交通安全教室を開いている。そこで自転車の交通ルールなどを学んだ児童だけが乗ってよいとしているそうだ。学校によっては“免許証”を出すところもあるという。
ただ、学校が決めたルールであるが故に、厳格な決まりとはなっていない側面もある。ある学校では4年からというルールはあるものの、3年以下でも自転車を利用している児童がいるという。学校側として注意はするが「保護者の方針は尊重するほかない」(関係者)とのことだった。
情報を寄せてくれた男性も3、4年ルールには懐疑的だった。「4年生になって、ある程度、体も大きくなると、逆に乗り始めの転倒などによるけがが大きくなるのではないか」と心配するからだ。早い段階から正しいルールを教え、自転車に慣れることが事故防止につながると考える。
自転車の事故は一歩間違えば命を落とす。ただ、子どもたちの大事な移動手段でもあるが故にさまざまな考えがあるようだ。小学校区ごとに交通事情が違う中で、児童や家庭の希望なども考慮しながら、ルールについて話し合う機会があってもいいのではないか。保護者や学校だけでなく地域も交えてしっかり見守る体制をつくることで、安全に結び付けたい。
記事元:西日本新聞