
レーシングスーツがあるように、サイクリストにも最適なウェアがある
バイク乗りからすると、本格的な自転車乗りが着ているピチピチでド派手なウェアは少し奇抜に感じられるのではないでしょうか? もちろん、そうしたウェアを着用するのにはしっかりとした理由があります。
おもにロードバイクに乗るサイクリストが着用しているこのウェアの正式名称はトップスが「サイクルジャージ」、パンツが「レーサーパンツ(またはビブショーツ)」と言います。
もともとは自転車ロードレース用として開発されたものです。バイクに例えればレーシングスーツ。走ることに特化した、いわば機能的ユニフォームなので、町中などの日常的な場所では少々浮いてしまうのも無理のないことかも知れません。
サイクルジャージは薄くて通気性や吸汗速乾性、UVカットに優れたポリエステル生地をおもに採用しており、走行風でバタつかないようタイトなフィッティングになっています。
自転車はバイクに比べるとはるかに車重が軽いため、風によるウェアのバタつきは快適性だけではなく、操縦性にも影響を与えることがあるからです。また、パターンも前傾姿勢をとりやすいよう前身頃を短く、後身頃を長くしてあるのも特徴です。
背面にポケットが装着されているのも、サイクルジャージならではのディテール。ここに補給食や財布などを入れることで、バッグを持たずにサイクリングができるというわけです。バックパックを背負うと背面の通気性が低下して汗が乾きにくくなるため、ロードバイク乗りの間では、ライドの際はなるべく余計な荷物を持たないという美学が広く浸透しています。
コンマ1秒を争う自転車競技では、走行中の空気抵抗を減らすことはパフォーマンスに直結し、大きな命題のひとつとなっています。したがって競技志向のサイクルジャージほどフィッティングはよりタイトに設計されており、より空気抵抗の少ない上下一体のワンピースタイプも存在します。
レーサーパンツは抜群のストレッチ性をもつポリウレタン生地を主に採用し、お尻の部分にはサドルからの衝撃を吸収するパッドが内蔵されています。私も普段から愛用していますが、これを履くと履かないとでは、快適性に天と地の差が生じます。とくに長距離をライドする際はマストアイテムといえます
サイクリストのタイトな上下ウェアは機能性を追求した結果です。それを理解すれば段々とカッコ良く見えてきませんか?
佐藤旅宇(ライター)
記事元:バイクのニュース