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琵琶湖の「ビワイチ」初認定候補に ナショナルサイクルルート 今や10万人超

ビワイチのナショナルサイクルルートの候補入りについて会見する滋賀県の三日月知事=10日、滋賀県庁

 国土交通省は、日本を代表する自転車道として国内外にPRする「ナショナルサイクルルート(NCR)」の第1次候補の一つに琵琶湖を周回する「ビワイチ」を選定した。第3者委員会が走行環境などの指定要件を満たしているか検討し、来月中にも指定の可否を判断する。滋賀県の三日月大造知事は「指定されれば、ブランド力や知名度が向上する」と期待を寄せる。

 NCRは、自転車活用推進法に基づき、自転車を通じて観光振興や地域創生を図ろうと、世界に誇るコースを国が指定する制度。9日に発表された第1次候補ルートには、ビワイチのほかに「つくば霞ケ浦りんりんロード」(茨城県)と「しまなみ海道サイクリングロード」(広島県、愛媛県)が選ばれている。

 NCRに選ばれるには、ルートが地域を代表する観光地と連携しているなど魅力的で安全なルートであることや、案内表示が整備されていること、休憩施設などの受け入れ環境が整備されていることなどの指定要件を満たす必要があり、学識経験者らからなる第3者委員会が審査する。

 三日月知事は10日の定例会見で「市町の関係者らと、これまで以上に連携して走行空間整備や安全対策などのサービス水準の維持向上に努める」と述べた。

 近年のサイクリングブームの高まりに伴い、自転車で琵琶湖を周回する「ビワイチ」に訪れるサイクリストは年々増加し、昨年度は初めて10万人を超えた。一方で、地元からは「自転車が道路にはみだして邪魔だ」といった苦情もあるといい、県や自治体は共存のための安全対策を進めている。

 ビワイチは琵琶湖を周回する約193キロのルートで、勾配が少ないなど、初心者でも取り組みやすいのが特徴。ビワイチで来県する人は平成20年ごろから増加。30年には約10万6000人を記録し、経済効果は年間約13億円に上る。滋賀県は令和2年に16万5000人を呼び込むことを目標に掲げ、情報発信を強化するなどしている。

 一方で、自転車の増加は道路の混雑を招くなど、安全面で課題もある。

 県内で昨年発生した自転車が関係する人身事故673件のうち、約3・4%にあたる23件がビワイチのルート上で発生している。県警交通企画課は「23件には、通学中のものなども含まれる」とした上で、「琵琶湖大橋より南側では、駐車場から出てくる車などとぶつかるケースが目立つ。自転車同士の車間距離を保つなど、基本的な交通ルールを順守してほしい」としている。

 「ビワイチの発着地」としてPRしている守山市の担当者は「歩道の整備が進んでいないところでは、路肩のアスファルト片やガラスを避けようと、自転車が車道側に膨らんでしまい、ドライバーから苦情が来ている」と明かし、「今後、海外から来る人にも対応できるよう、対策を進めたい」と気を引き締める。

 県はサイクリストの安全を確保しようと、歩道の拡張や「自転車歩行者専用道路」の整備を進めている。 年末ごろには、ドライバーに注意を促す青い矢羽根マークを、ルートとなる車道に描く作業が完了するほか、ルート案内も兼ねる破線を引く作業も進めている。県道路課は「多くの人に、より安全にビワイチを楽しんでもらえる環境をつくっていく」と話していた。

記事元:産経新聞 2019.09.11

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