
参照:静岡新聞
沼津市が2016年度から開催してきた海上ルートを取り入れた観光サイクリングツアー「ぐるっとぬまいち」をきっかけに、自転車の持ち込み乗船が可能になるなど、サイクリングツアーに新たな動きが生まれつつある。ガイドも関わって観光サービスの向上にもつながった。事業を主導した市は、県東部で自転車競技が開催される2020年東京五輪・パラリンピック後のレガシー(遺産)づくりにも期待している。
ツアーは社会実験として実施。「NUMAZUサイクルステーション静浦東」(同市口野)から狩野川沿いの自転車道などを通って沼津港に。船に乗船して大瀬崎で降り、再び自転車で海岸線を走行する約40キロのコース。ガイドの案内の下、市のレンタサイクルを活用した初心者向けの内容で、16年度から計6回開催し、今年9月で終了した。
船と自転車という組み合わせに、参加者の評判も上々。9月の第5回ツアーでは15人が楽しみ、市外から参加した40代の男性は「サイクリングをしながら船に乗ることはないから新鮮。またやってみたい」と話した。
ツアーに協力した千鳥観光汽船(沼津市)は7~8月に沼津港と大瀬崎を結ぶ定期船を運航する。通常はキャリーバッグに入る荷物以外は持ち込めなかったが、市からの協力依頼をきっかけに、事前に相談をすれば自転車の積み込みを可能にした。
ツアーにはガイドも大きく貢献した。「カケルバイク」は、サイクリストが集まるチェレステカフェ(同市口野)店主の小野剣人さんの呼び掛けで集まった自転車の“プロ集団”。今年2月にNPO法人化した。日本サイクリング協会公認のサイクリングガイド、自転車競技の現役選手やホテルの元支配人ら約20人で構成。今回のツアーをはじめ県内各地でサイクリングツアーを手掛ける。小野さんは「観光サービスとして質を高め、県東部の自転車文化発展につなげたい」と話した。
<メモ>沼津市は2020年東京五輪パラリンピックを見据え、市職員が組織横断的につくる「サイクリストフレンドリーエリア創造プロジェクト」を16年度に立ち上げた。自転車の聖地づくりを目的に「ぐるっとぬまいち」による新たな観光サイクリングの可能性調査、専用サイト「ぬまづサイクリング」での情報発信に取り組んでいる。受け入れ態勢の整備にも力を入れ、市内5カ所で1日1000円のレンタサイクルを実施。自転車の修理や休憩などを行うバイシクルピットは約40カ所に設置している。
記事元:静岡新聞