休日が楽しくなる!

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自転車乗りはセキュリティ、洗車などに悩んでいた
2000年頃までのマウンテンバイクに代わり、ここ10数年はよりスピードの出る軽快なロードバイクのブームが続いています。通勤に使う人も増え、街中でもしばしば見かけるようになりましたが、住まいという観点では「悩みが多い」と言う自転車雑誌「BiCYCLE CLUB」編集長の岩田淳雄氏。

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「ロードバイクはちょっと良いもので30~40万円、さらに良いものになると100万円を超す品もあり、気になるのは防犯。さらに濡らすのが嫌、隣とぶつかったら困るなどと考え、多くの人は戸外にある駐輪場ではなく、室内に置いています。その場合、玄関やリビングなどにそれだけの広さがあるかどうかはもちろん、階数によってはエレベーターが使えるかどうかも気になるポイントです」。
エレベーターがあっても単身者向き物件などのコンパクトなエレベーターだと立てて載せることになりますし、自転車持ち込みを不可としているマンションもあるのだとか。保管するだけでもハードルがあるわけです。
もうひとつ、気になるのが洗車。一般的な賃貸マンションでは敷地内に洗車スペースがないため、多くの人はバルコニーを利用。「バケツ一杯でどう効率的に洗車するかが記事になるほどで、苦労している人が少なくありません」。また、場所は取らないものの、チェーンに油を差すなどといった日常的なメンテナンスは臭いがするので室内ではやりにくいなど苦労があるといいます。
自転車最優先で考えられたマンションが誕生
そんな自転車乗りの悩みを一気に解決するような賃貸マンションが誕生しました。それが「ルブリカント アラカワベース」(以下、ルブリカント)。ルブリカントとは潤滑油のことで、自転車に乗っている人ならピンとくるものなのだそうです。
物件は東京メトロ東西線南砂町駅から歩いて13分ほどの葛西橋通り沿いに立地しており、建物には入ったところからサイクリスト向けの配慮が行き届いています。まずは床。ロードバイクに乗る人はペダルに足を固定するため、ビンディング(爪のようなもの)のある靴を履いていますが、それで普通の道、建物内を歩こうとすると本人が歩きにくいだけでなく、床を傷つけてしまうことにもなるのだとか。そこでルブリカントでは滑りにくく、爪があっても歩きやすい床材を使っています。また、自転車で来た来客用に自転車を掛けるためのサイクルスタンドも用意されています。

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エントランスではもうひとつ、オートロックにも工夫があります。
「ロードレーサー用の衣類は非常にシンプルにできており、ポケットは腰にひとつある程度。その状態で自転車を押して帰って来ることを想定し、鍵をポケットに入れたままで開錠できるようハンズフリーオートロックを採用しています」(長谷工不動産コンセプト企画部・谷野真太郎氏)。
オートロックを開けたところの壁に描かれているのは近くにある荒川沿いのサイクリングマップ。立寄りたいスポットや橋などが描かれており、好きな人なら見ているだけで出かけたくなるでしょう。

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トレーニングやメンテナンス、洗車ができる共有スペース

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共有スペースもすべて自転車に乗る人目線で作られています。まず、1階にはトレーニングやメンテナンスに使えるスペースがあり、週末には自転車関係のイベントが開かれることも。トレーニング用にはサイクルトレーナーという自分の自転車の車輪を外して固定、それを漕ぐという品が用意されています。機械自体はそれほど大きなものではありませんが、音、振動があるため、自室ではなかなか使いにくいものですが、共有部にあるなら安心して利用できます。

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メンテナンス用には各種の工具が用意されているほか、毎週木曜日の夜にはルブリカントと契約している木場の自転車店オーナーが立ち寄り、入居者の愛車をサポート。予約制でワークショップや各種講習会、相談などに応じてくれます。

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その共有スペースの裏手には自転車を洗車する場所が用意されています。壁に掛けて洗えるようになっているので、細かく隅々までチェックでき、愛車をぴかぴかにできるはずです。

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共有部の2階は大型のモニターにソファが置かれた入居者のための空間。海外で行われる自転車レースをリアルタイムで、あるいは録画で同好の仲間と楽しめるようになっています。自転車雑誌やトレーニングのためのマットなどのほか、足の疲れを癒やすためのフットマッサージャーも置かれています。

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廊下、エレベーター、室内ももちろん自転車仕様
広めの廊下、奥行きのあるエレベーターはもちろん自転車仕様。そして極めつきは室内です。ルブリカントでは全戸、室内に2台分のサイクルラックが用意されており、愛車を眺めながらの暮らしができるのです。

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間取りは2タイプあり、どちらも専有面積は約25㎡。Aタイプは入って左にキッチン、右に水回りが作られており、南向きのバルコニー側に約7.7畳大の居室があります。広めの玄関はもちろん自転車と共に入ってくるためのもので、サイクルラックまでの床は土間を思わすグレー。それ以外のフローリングとは意図的に分けてあるそうです。

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サイクルラックが設置されている背後の壁は一般にはキッチンに使われるのと同じホーローのパネルで、汚れに強い上にマグネットが使えます。モデルルームではサイクルウエアやヘルメットが飾られていましたが、飾って収納するために使える壁なのです。
また、クローゼット扉には鏡が用意されているのですが、これも自転車乗りを意識してのこと。普通の人なら洋服のコーディネートを見るためなどに使うでしょうが、サイクリストは自転車に乗った時のポジション確認に使うのだとか。全身が写るようなサイズが用意されています。
また、Aタイプは角部屋のため、ドアの脇にもサイクルラックが用意されており、室内、玄関脇で計3台までの自転車を止めておけます。好きな人は複数台持っているそうですから、これも喜ばれる設備でしょう。

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ひとつのBタイプは水回り、キッチンの配置そのものはAタイプと変わりませんが、洗面所の扉を外すなど開放的に作られており、インテリアはインダストリアル系のマニッシュな雰囲気。明るいAタイプに比べると床や壁の色などもダークな色合いになっています。

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賃料は10万2500円~で、別途管理費は1万5000円。現在の入居者のうちには自転車好きに加え、自転車関連の仕事をしている人なども含まれているそうで、入居者同士の交流が始まれば、楽しい暮らしが実現できそうです。
走るのが楽しい立地も魅力のひとつ
ところで、ルブリカントがサイクリスト専用になったのには理由があります。荒川に近く、川沿いは絶好の自転車コースになるからです。
「自転車で走りやすい道は車や信号が少なく安全で風景の良い場所です。そこで多くのサイクリストは都心ではなく、郊外に向かいたがります。その際の入り口として選ばれるのは河川。上流に向かえば坂もあり、自然も楽しめるからです」(岩田氏)。
ルブリカントに近い荒川は自転車に乗る人達にはよく知られた場所で、河口から武蔵丘陵森林公園までの約90kmを一気に走ることができ、さらにはつくばなどの奥地まで続く入り口的なコースなのだとか(ただし、自転車専用道路ではなく自転車歩行者専用道路。下流は災害時緊急道路)。
さらに、最近では川の近くにちょっと立ち寄るのに便利な店が増えています。たとえば荒川に近い北区岩淵町(最寄り駅は東京メトロ南北線赤羽岩淵駅)には朝7時からやっているAERU COFFEE STOPがあり、週末には一息入れに、あるいはボリュームたっぷりの朝食を取りにサイクリストが集まります。

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「これまで荒川沿いには一休みできるカフェがなかったそうで、オープン後、サイクリストの来店の多さにびっくり。荒川沿いがそんな場所とは知りませんでした」とAERU COFFEE STOPの小倉永斗氏。

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隣にある自転車ショップR-Factoryの遠藤大幹氏はサイクリストにとっての荒川を知り尽くした地元出身。「山にも、海にも出られる格好のコースで、途中には集合地として利用しやすく、トイレのある岩淵水門があります。週末に80キロ、100キロと楽しむなら荒川沿いはおすすめです」。

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実際、ショップには周辺の人が多く、一緒に走りに行くこともあるとか。自転車は一人で乗るのはもちろん、仲間と走るのも楽しいスポーツですから、地元に走りやすいコースがあって、そこで仲間が作れれば週末がぐんと待ち遠しくなることでしょう。趣味から住まいを選ぶ、そんなことがあっても良さそうです。
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