
ソロキャンプの様子を撮影した、物静かで淡々とした動画を流すYouTubeが世に受け入れられ、登録者数41万人(2019年6月末現在)を誇る「ヒロシちゃんねる」のヒロシさん。今では、芸人としての仕事の他にも、キャンプ関連の仕事も増えているという。ユーチューバーから始まった新たな仕事について聞いた。
芸人ヒロシと、ソロキャンパーとしてのヒロシ
ソロキャンパーであり、ユーチューバーでもあるヒロシさん。最近の仕事は、オファーの内容も芸人ヒロシとして活動していた時とは違ってきているという。
「キャンプ関連では、テレビ、雑誌、Web媒体、雑誌の連載、それからアウトドアイベントにも呼ばれます。今まではイベントといえば、お笑いのネタをやっていたけど、今はキャンプの話をしてますよ」
仕事の幅はさらに広く、某メーカーのイメージキャラクターや、タイヤとホイールの専門店のイメージキャラクターにもなった。さらに、愛車のスズキ・ジムニーが取り上げられ車の雑誌で連載を持ったり、キャンピングカーショーのイベントに呼ばれることも。

「俺、キャンピングカーには乗ってないんだけどね。あとは、ユーチューバーとしての仕事もあります。『うちのキャンプ場でキャンプをしてくれ』だとか、キャンプ道具のメーカーさんから、この道具を使ってくださいっていうのも多い。でもやっぱり、自分が気に入らないと使わないですけどね。
それから動画撮影の作成依頼もあります。この間も、某飲料メーカーさんの広告に起用されました。今までの芸人だったら、それだけですけど、僕の場合、広告プラスアルファで自分で動画を作ってアップするという仕事も乗っかってきます」

ただ、芸人の仕事とキャンプの仕事という明確な分け方はできないという。
「半々ぐらいだろうとは思います。でも、区別するのが難しい。それに例えば、テレビのバラエティ番組に出てキャンプの道具を紹介するとか、キャンプに密着させてくれって、それは芸人の仕事なのかどうなのか。テレビ以外のキャンプ関連の仕事だって、芸人のヒロシじゃなかったら依頼は来てないと思いますしね。ただ僕はネタをやるのが芸人だとずっと思ってきたところがあります。だから、俺はもはや芸人じゃないと思うんですよ」
となると、ヒロシさんの肩書きはどうなるのだろうか?
「肩書きは、ヒロシでいいです」
YouTubeを続けられたのは、仕事ではないから
今は肩書き「ヒロシ」としての立ち位置も確実にできつつあるという。
「最近、僕の動画を見てキャンプ始めましたという人が結構いるんです。自分の趣味を動画に上げているだけだったけど、それを見ている誰かを刺激することができている訳です。だから、最近はキャンプ界隈では『ヒロシ先生』なんて呼ばれることが多いんです。僕が先生ですよ。それは何よりYouTubeの力ですよね」

自分のチャンネルをYouTubeで開いてから今に至るまで、続けて来られたのはキャンプの動画を撮るのが仕事ではなかったからだという。
「最初からキャンプ動画をYouTubeに上げることを仕事にしてやろうと思っていたら、おそらく続いてないんですよ。自分があんまり動画に映らない理由もそこにあって、面倒臭いんですよ。例えば、かっこいい動画を撮ろうとしたら、キャンプする場所までザックザックと歩いてくるシーンが欲しくなるじゃないですか。でも、それをするのにまずカメラを置きに来て、アングル決めて、1度RECボタンを押して、わざわざ向こうまで行ってから歩いて来ないといけない。面倒でしょ。そんなことやってたら嫌いになるんですよ」


ヒロシさんにとって、一番の目的はただ純粋にキャンプを楽しむこと。「YouTubeに上げて人に見てもらうのは、あくまでついでなんです」と話す。それが、長く続けられている理由なのだ。ただ、最近はある悩みがあるという。
「キャンプの仕事って時間がかかるんですよ。普通の取材ならば、例えば1時間半話して終わりのところが、キャンプだと実際に見せながらとか、泊まりのこともありますから、時間も必要だし、スケジュールがいっぱいになる。それで、最近はキャンプに行く時間がなかなか取れなくて。でも、自分が仕事を入れているから悪いだけの話なんです。自分で選べるということも、今の仕事のやり方だからできることなんですよね」

今、ヒロシさんは、オリジナルのキャンプグッズを作ることも視野に入れているという。
「普通に芸人やってたとしたら、自分のグッズって何?って。スーツ作ってどうすんのとしか思わなかったでしょうからね。今は色々な広がりがあって楽しいですよ」
ジーンズとネルシャツを着こなし、焚き火の着火をさせながらそう話すヒロシさん。次回はヒロシさんが“スキ”を仕事にするために考えていたこと、やってきたことを紹介する。

text 頓所直人
photo 佐山順丸
記事元:d365