
国土交通省がこの夏をめどに、自転車で長距離の移動を楽しみながら観光することができる交通ルートを「ナショナルサイクルルート」として認定する方針を固めたことが22日、分かった。新しい形態の観光として海外で人気が高まっている「サイクリングツーリズム」の活性化が狙い。近く認定基準をまとめ、公募を始める予定だ。自転車で巡ることができる日本の観光ルートを国内外にアピールし、サイクリング好きの外国人観光客の誘致を図る。
サイクリングツーリズムはスポーツタイプ車などを使って、郊外や都市間を含む長距離ルートを時速20~40キロ程度で走行し、風景や観光スポットを楽しみながら移動する観光の形式。途中での食事や宿泊を伴うことが多く、消費拡大の面でも期待が高まっている。
特に欧州などで普及が先行しており、国交省は日本観光の魅力を新たに訴求するツールになるとみている。
一方、既存のサイクリングルートは各自治体がそれぞれ整備しているため、路面標示や案内看板がバラバラだったり、外国語の表記がなかったりするなどの問題がある。また、休憩場所や、故障した際のサポート体勢が不十分であるなど、国際的な基準に達していないケースも多い。
このため国交省は、ナショナルサイクルルート認定制度の創設にむけ、要件や満たすべき水準について有識者会合での検討を進めている。近くとりまとめる予定で、一定の基準をクリアしたルートを認定していく。
基準としては距離が100キロ超であることや、コース付近に地域を代表したり、国際的に著名だったりする観光地があること、安全を確保できるルートであることなどがあげられている。また路面標示や案内看板を青色系で統一することなども想定する。
広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」や、滋賀県の琵琶湖を1周する約200キロの「ビワイチ」など、国内の有力なサイクリングロードが認定の有力候補になっている。
記事元:SankeiBiz