
女性のサイクリング人口、東京だけで60万人以上
皆さんは、「ポタリング」という言葉を知っていますか?
ポタリングとは「散歩をするようにぶらぶらと自転車で走ること」で、「のんびりする」「ぶらつく」という意味の「putter(パター)」から作られた和製英語です。本格的に暑くなる前にポタリングをすれば、気持ちいいこと間違いなし!
「肩肘張らず、遊ぶような感覚でチャレンジしてください」
東京の観光地を自転車で巡るイベント「BIKE TOKYO」を開催している、日本サイクリング協会(新宿区信濃町)の事務局担当者はこう話します。
総務省の社会生活基本調査(2016年度)によると、女性のサイクリング人口(10歳以上)は全国で342万2000人、東京都だけでも62万1000人(同)がいます。
「健康志向や環境意識の高まりで、14~15年前から人気のある趣味になっているんです。ポタリングを気軽に始めるなら、車体の乗り捨てができるシェアサイクルをお勧めします」(担当者)
都内を巡って、「写真をSNSにアップ」が定番
都内8区でシェアサイクル事業を手掛けるコギコギ(渋谷区桜丘町)は、利用者の6割を占める訪日外国人観光客やポタリング愛好者などに向け、坂の多い都内を走りやすい電動アシスト自転車を提供しています。利用時間を「最低12時間から」と長めに設定しているため、利用者の大半が都内やその周辺スポットの散策に利用しているといいいます。
「日本人利用者の約6割が女性で、女性同士またはカップルでの利用が多いです。渋谷区のポート(貸出返却場所)から、『奥渋谷』や原宿、代々木公園などを巡るのが人気のコースになっています。おしゃれなコーヒー店で自転車と一緒に写真を撮って、インスタグラムにアップする人が近年増えています」(コギコギ)
シェアサイクルだけでなく、女性のポタリングに最適な自転車を販売する店舗もあります。
ジック(大阪市住之江区)が2018年にオープンした自転車専門店「LIGHT SERIES 自由が丘」(世田谷区奥沢)は、軽量自転車のみを取り扱う店舗です。同店のコンセプトは「軽さにこだわる」で、店内には約70台を取りそろえています。重さは約7kgから11kgまで、価格帯は4万円から17万までです。
「スポーツ自転車のフェスティバルに出展したとき、軽量自転車に対するニーズの高まりを感じ、自由が丘に出店しました。フレームやタイヤなどを軽量化することで、女性でも気軽に持ち運べる製品になっています。
家からそのままポタリングに出かけたり、電車に乗って降りた駅からポタリングを楽しんだりできます。折りたたむと中型のコインロッカーに入れられる大きさになるため、自宅に置くのも問題ありません。駐輪場の少ない東京にうってつけですよ」(ジック)
「偶然の出会い」「非日常」を気軽に味わえる
シェアサイクルなどのサービスや、自転車そのものの進化によって、都内でポタリングができる環境が年々整いつつああります。ポタリングの一番の魅力とは何でしょうか。前出の日本サイクリング協会事務局担当者は、次のように話します。
「『非日常』を手軽に味わえることです。クルマと違って、自転車は乗っている人の体がむき出しなっているため、訪れる地域の雰囲気や匂い、生活感などがダイレクトに伝わりますし、交通事情にも影響されにくいため、停車もしやすい。『こんなところに、こんなものがあったんだ』という偶然の出会いを見つけやすいツールなんです。もちろん『インスタ映え』するスポットの写真もたくさん撮れます」
ちなみに、ポタリングをする際、「歴史」「自然」「フード」などを軸にしてコースを計画すると作りやすいとのことです。
交通ルールやマナーの順守、安全面にも配慮を
ポタリング初心者が気を付けなければならないのは、なんといっても交通ルールとマナーの順守です。実に当たり前のような気がしますが、「非日常」を味わっていると、歩行者などへの配慮がおろそかになる場合もあるといいます。
「ポタリングをしていると、途中で歩道を走ることも多い。そこで注意してほしいのは、歩行者に道を開けてもらうとき、ベルを鳴らしてはいけないということ。しっかり『通ります』と直接声掛けをしてください。これはマナーです。また、歩道で信号待ちをする際、くれぐれも歩行者の邪魔にならないようにしましょう。住宅街では、民家の塀に前に自転車を停めることは止めてください」(日本サイクリング協会事務局担当者)
なお、ポタリングに出かける場合は、帽子やヘルメットを被って安全面に気をつけるほか、万が一のことを想定して「保険付きのサービスなどを利用してほしい」とのこと。
思い立ったが吉日。気軽に始められるポタリングで、東京の「非日常」を味わってみませんか。
ULM編集部
記事元:Yahoo Japan Corporation